ほんもんぶつりゅうしゅう

2020-07-24 09:45

7月24日の隆宣寺日記

人が生きていく上で《欲》は必要です。ただ、問題なのは《欲》の方向性と、程度です。人の道から外れる《欲》は当然みんなを害し、自分をも害します。睡眠欲・食欲といった《欲》も度が過ぎると、やはり有害です。適度にコントロールできる範囲内であれば《欲》は人生を充実させます。
 
しかし、それが出来なくなるので人は苦しむのです。自らの《欲》で充実していた人生が、自らの《欲》でダメになっていく。その状況を誰よりも知っているのは本人です。たとえ頭ではわかっていても、心が動かなければ生き方は変わりません。ここが心の中にある《欲》の恐ろしい一面です。
 
ちなみに、そうやって制御不能になった《欲》のことを「貪欲」と言います。一般には【どんよく】と読みますが、仏教では【とんよく】と読みます。これは私達をダメにする「三毒(さんどく)」の1つです。三毒とは「貪欲(とんよく)」「瞋恚(しんに)」「愚痴(ぐち)」簡単に言えば「欲張り」「怒りん坊」「わからず屋」ということ。そして、三毒の始まり、諸悪の根源は「貪欲」なのです。
 
つまり、欲がコントロールできなくなってくると、当然、思い通りにならないことが増えます。そして、思い通りにならないことが増えてくると、当然、イライラして起りぽくなります。そうやって感情がコントロールできなくなれば、当然、正しい判断ができなくなり、色んな場面で人生の選択肢を間違えることになります。そうなると、ますます「何とか思い通りにしたい!」という思いが強まっていきます。それが更に欲求不満に拍車をかけ、いずれ自分自身が制御不能となっていきます。
 
自分の家族や仕事のことを思えば、グッと辛抱できたり、心にブレーキがかかることもあります。しかし、自分自身が制御不能になってくると、その家族や仕事のことまでも心の負荷になります。それが大きなストレスとなり、余計に心を苦しめ、潰してしまうこともあるぐらいです。「なんとかしなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」「なんて自分はダメなんだ」そう思えば、思うほど、自分の首をしめてしまい、負のサイクルから抜け出せなくなります。
 
残念ながら、自分の貪欲を自分で解決できる力は、私達にはありません。それは仏様ご自身ですら、そうだったのです。しかし、この世を悟った時に、全てを解決することができました。「そうか、解決できるのか!」と感銘を受けた仏様は、このことを世の人々にも伝えたいと思われて、その悟りについて説かれたのです。つまり、正しい心、清らかな心を起こすことで、自然と、自分を苦しめる欲の割合は減ってくのです。
 
いわば、欲を直接コントロールすることは難しいし、欲だけを取り出して放り出すのも難しい。ならば、そういった欲が自然と出ていく、減っていくように、自分の心の中に「信心」を起こし、増やしていくことが一番の得策なのです。欲に勝てるなら、誰も苦しんだりしません。欲に勝とうとするから、無残な負け方をしたり、始めから諦めたりすることになるのです。お寺で上手に《欲》と付き合う方法を学び、実践してみませんか?
 
*7月20日〜8月19日までは「夏期参詣」の御法門です
☆朝参詣御法門【ここをクリック】(YouTube)