ほんもんぶつりゅうしゅう

2021-05-06 13:49

5月6日の「毎日ぶっきょう」

『素直になれなくて』というタイトルの歌やドラマがあるように、本当は素直になりたいけど、なかなか素直になれない自分がいて、意に反した言動を取ってしまい後悔することもあるものです。そう思うと「素直な人間になる」というのは、必ずしも自分の意志のみで成し得ることではなく、私達が普段、知識や技術を身につけるのと同様に、日々の鍛錬によって身についていくものだといえます。

 

たとえば、日本高等学校野球連盟が定める『日本学生野球憲章』には、学生野球の基本原理として「教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする」と明確に記されており、単なる知識や技術の鍛錬ではなく、人間としての成長までもが含まれています。これは仕事に取り組む際も同様で、単に仕事ができるようになっただけでは、一人前の社会人とは言えません。

 

キャノン電子(株)代表取締役会長・酒巻久氏は、若かりし頃の思い出を次のように述懐されます。

「会社人生で大きな影響を受けたのが、キャノンの「技術の父」といわれた鈴木溥(すずきひろし)氏。当時は入社した時の上司で将来が決まるとも言われた。その点、技術や設計の話などは一切せず、人間としてどう考えるべきか、どういう心構えでものを見るべきかを繰り返し指導くださった。」

 

そんな鈴川氏から受けた指導として、このような決まり文句があったそうです。

「色眼鏡でものを見るな。ありのままに、素直にものを見なさい。仮に赤の眼鏡をかけていると、そこに赤色があったとしても見逃してしまう。技術開発も商品づくりも『俺が』という思いを持った時点で間違うから、自分自身を殺した形で真正面から見なさい。」

 

そもそも、野球にして仕事にしても、それらを通じて「人間」として成長することが目的の1つです。周囲からの評判を落としながら、常識やマナーから逸脱しながらノルマを達成しても意味ありません。良い結果を出そうとして、正しい努力を積み重ねることができれば、自然と結果がついてくるだけでなく、周囲から評価されるような所作振る舞いや、社会人としての常識やマナーも身についていくものなのです。

 
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