ほんもんぶつりゅうしゅう

2020-08-13 10:17

8月13日の隆宣寺日記

私達が生きていく上での悩み、苦しみには必ず原因があります。ということは、その原因を知り、対処することができれば、悩み、苦しみを解決できたり、緩和できたり、予防できたりするのです。では、私達の悩み、苦しみの原因とはなんでしょうか?「あの人のせいで!」とか「あんな会社だから!」とか「こんな政治だから!」とか、自分の周りにいる人や身を置いている環境に、何かしらの原因を求めてしまう人は多いと思います。

 

確かに、そういう一面があるのは間違いありませんが、それは表面的な原因です。「草むしり」でもそうですが、地面の上に出ている《草》だけをむしってもダメで、やはり《根っこ》から引っこ抜かないと、悩み、苦しみは無限ループとなります。なので、仏様は悩み、苦しみの「根本的原因」を取り除くことが大切だと教えてくださいます。じゃあ、その根っこは一体どこにあるのか?というと…それは「私達自身の心の中にある」というのが、紛れもない事実なのです。

 

私達が生きていく上で《欲》は必要不可欠です。しかし、その《欲》に「貪(むさぼ)り」という字がついて「貪欲(とんよく)」になると、自分自身を悩ませ、苦しめる有害な《欲》になってしまいます。欲が満たされると、その満足感が永遠に続くのかと言えば、そうではありません。次第に満足感が薄れてくれば、また欲しがるようになります。しかも、今まで通りでは満足できないようになり、更に大きな欲を求めるようになる。

 

こんな風に書くと「私はそんなに欲張りじゃない」と思う人が大半だと思いますが、皆さんは今、どれだけ感謝の思いを持って日々を生活することが出来ているでしょうか?どんなことも「ありがたい」と思えているのなら、それは自然と感謝の思いとなります。働ける職場があって「ありがたい」一緒に過ごせる家族がいて「ありがたい」こんな世の中でも年金がもらえて「ありがたい」命があるだけで「ありがたい」そう思えるだけで、人生の満足度、充実度は違ってきます

 

もし、現状を「当たり前」にしてしまって、何かと欲しているのであれば、なかなかその通りにならなくて欲求不満、人生の満足度、充実度はイマイチのはずです。そして、欲求不満はストレスやイライラを生み出す原因となり、そのストレスやイライラは善悪の判断をにぶらせ、人生の選択を誤らせることになります。そうやって間違った判断によって発せられた言葉や、私達の行動が悩み、苦しみを生み出し、更なる欲求不満へと繋がり、私達が抱える問題をより大きく、より深くしていくのです。

 

「貪欲」は特別な人の、特別な問題ではありません。私達の日常の中に、どこにでもある、誰もが抱えている問題です。つまり、あまりにもありふれた所に悩み、苦しみの根本的原因があるので、かえって気づけないものですし、それが根本的原因だと教えられても、その事実を、なかなか認めたくない自分自身がいるのです。

 

でも、そこを認めて「自分」が変わらなければ、自分の心を変えていかなければ、《根っこ》を抜かずに《草》だけをむしって、一時的に安心、満足しているだけに過ぎません。もうそろそろ、そういう生き方をやめて、もっともっと人生を大きく見据えてみましょう。そして、本当の幸せを築いていくことができるように、思考と言動を変えていきましょう。仏教は、ご信心は私達人間の「生きるセンス」を磨いていくれます。さぁ、お寺で新しい自分、新しい人生をスタートさせましょう♪

 

*7月20日〜8月19日までは「夏期参詣」の御法門です

 ☆朝参詣御法門《1回目》は【ここをクリック】(YouTube)
 ☆朝参詣御法門《2回目》は【ここをクリック】(YouTube)
★夕看経御法門は【ここをクリック】(YouTube)