ほんもんぶつりゅうしゅう
2014年11月01日
北九州布教区「東日本大震災 復興支援助行」第6回目をむかえる
本年も昨年同様、9月9日から11日までの3日間、大分松薫寺・小佐井日勝布教区長はじめ、光薫寺の小林日元御住職、教務方、各寺院の局役総勢10名のご奉公となりました。今回は南九州布教区・長薫寺より参加もありました。九州管内において発信力・影響力のある方々に毎回参集していただき、つぶさに被災地で見聞きしたことを報告させていただくことが一つの大きな目的となっております。

 9月9日は福島県郡山市の遠泉寺にご奉公にあがりました。地震により2階部分の本堂が大きな被害を受けましたが、ようやく本堂を再建されました。お助行ののち、栢森清洋御住職、奥様ともども震災当時から今日までの事を熱く語られ、大変なご苦労があることがしのばれました。我々がお寺を発つ際には、お互い涙ながらのお別れとなりました。

 翌10日は水戸開運寺御住職・秋山現信師の案内で、いわき市の妙運寺を訪ねました。妙運寺は福島第一原発より直線距離で約40キロに位置しております。いわき市は行政より浄水道の安全宣言は出されているものの口にされる水、お供水は全てペットボトルの水をいただいておられます。毎月5万円程お金がかかるそうです。局長の森川ご夫妻のお話を聞き、きわめて深刻な状態が継続されていることを実感致しました。秋山御住職の車には放射線量を測る線量計とモニターするパソコンが備えられておりました。

 福島第一原発方面へ車を進めていきますと各地で除染作業する方々に遭遇し、除染の範囲がかなり広大なエリアに及ぶことが確認されました。避難地域、立ち入り禁止区域の境界に近づくにつれ線量計の値が上昇し、境界付近の足元で最も高い値を示しました。私たちが訪問当時、原発近くの国道6号線はまだ封鎖されていましたが原発施設で作業される車両が沢山往来しており、朝夕は作業をされる人を運ぶ車で渋滞するそうです。作業をされる方々の健康が心配になります。また秋山御住職より富岡町やその周辺の海、山、川の清流についての話を聞き、自然の恵みの多い豊饒の地であった事を思い、故郷を喪失することはどのような事かと深く考えさせられました。

 最終日の11日は仙台妙護寺においてお助行させていただき、近藤泉国御住職と妙護寺のご信者さん数名とともに石巻の耀護寺へ向かいました。お助行ののち御供養をいただきながら、局長の笠原信三さんより震災より今日までの歩みについてのご披露があり、困難な時期にもかかわらず、近藤御住職並びにご信者方の篤い志で、信徒会館を立派に竣工されていました。耀護寺のご信者のみならず、地域に開かれた役目もはたす会館だそうです。その後、震災で最も多くの犠牲者がおられる門脇地区に月命日のご回向をさせていただくために門脇小学校を訪れました。校舎に背を向け荒涼とした市街地に向け御題目を唱えました。この地でご両親と祖母を亡くされた榊美佐子さんもご奉公されておりました。全国の皆さんも機会があれば、榊さんのお話を聞かれる事をお勧めします。また妙護寺の菊池良子さんが語られた門脇地区での不思議な体験談、なぜご回向が大切なのかを示されたお話でした。

 今年もそれぞれの場所を訪問し思ったことは、震災の被害は、地震、津波、原発事故と異なっており、それぞれに違った深い悩み問題を抱えておられるということ、そしていまだに出口の見えない地域もあるということでした。時間とともに過去の出来事にならないようにしなくてはいけません。九州からは東北は遠くにありますが、東北において人にお会いすればするほど、みな身近な人たちだと感ずるのです。私たちの心の一部だとも言えるのです。最後にお忙しい中、各寺院の御住職、ご信者方の精一杯のご奉公、一同心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。

(光薫寺・松本信慈記)