ほんもんぶつりゅうしゅう
2016年05月01日
第25回研究発表大会を開催 —山田順子姉の講演を拝聴—
去る2月23日、佛立教育専門学校と佛立研究所共催の「第25回研究発表大会」が、宗務本庁3階宗会議室にて開催され、午前10時40分より玄題三唱、木村日覚宗務総長・小西日演教務局長・長谷川日堯専門学校長の挨拶、修学塾教員委嘱状交付と続き、講有上人より御訓示を賜った後、特別講演に入った。

 今回は『時代考証おもしろ事典』や『江戸グルメ誕生』など多数の著書を出されている時代考証家の山田順子姉より「幕末・維新当時の時代考証について」と題して特別講演をいただいた。山田姉は放送作家として『クイズ面白ゼミナール』の歴史クイズの出題構成担当を経て時代考証家となり、最近ではドラマ『JIN〜仁』や『天皇の料理番』など多数の時代考証を担当される第一人者で、開導聖人の御時代である幕末・明治について、ご自身の手がけた作品のスライド解説とともに時代劇の作り方の裏話も交えながらユーモラスな講演をいただいた。

 時代考証は大学教授や作家も行っているが「時代考証家」を肩書きにしているのは山田姉ただ一人であるという。それは時代考証家の役目は単なる歴史研究ではなく、その時代を忠実に表現するための材料を探す仕事であり、台本や当時の舞台、セットを完成させるために必要な資料収集を行い時代背景や制度、身分、事件の顛末などを調べ、監督やスタッフ・役者への説明、セットや衣装等がその時代に合っているかの判断をするなど、監督以上に作品に口を出すこともあるからだという。また礼儀作法の指導をしたり、当時の言語、建築、風俗習慣、作法、ものの考え方など、作品製作に必要な歴史的知識のほとんどを把握していなければならない。

 時代劇は、映像として残っていない世の中を忠実に再現するため、コンピューターグラフィックなど様々な映像技術、技法が駆使されているが、その裏には時代考証家という存在が絶対に必要である。資料研究はもちろんのこと、実際に現場に赴き確認し、違いを正さなければならない、とご弘通の現場に赴く佛立教講も大いに学ばせていただくところであった。 

 質疑応答、研究所副所長・岡居日実師の御礼挨拶、昼食・休憩の後、研究発表に入った。

〔研究発表者と演題〕
1)大津追分子傅歌から考える御教歌大別の試み  学校 長谷川清泊師
2)開導聖人と同時代の宗教者との比較Ⅰ 田中智学と国柱会  研究員 指田日行師
3日扇聖人全集における御指南の年次一覧表作成の試み  研究員 前島照力師
4)「伝える力を学ぶ」―教・行・証の角度から  研究員 石岡正則師

 最後に佛立研究所所長・向井日報師の閉会の辞をもって、この日の研究発表大会が無事に終了した。