ほんもんぶつりゅうしゅう
2017年07月01日
佛立開花運動5ヵ年誓願必成に向け 「声を出そう」 宗務副総長 亀井日魁
「声、佛事を為す」(法華玄義)と古くから言われます。
声にすることは仏教の修行での大事と言われます。

法華経の寿量品には久遠本佛の衆生救済をされたおすがたが「本門十妙」という御法門で説かれています。ちょっと理屈っぽくなりますが、始めの三つは自行といって本佛ご自身の修行、四番目からが化他行といって、衆生救済をするおすがたが示されます。碩学・故泉日恒先生から、この寿量品に説かれた本佛の化他行のおすがたこそが私達の教化のお手本、順序だと教えられました。
化他行の最初を本感応妙と言います。感応とは相手と通じ合うということ、いま風に言えばコミュニケーションを取るということです。通じ合うには近づいて話して相手を知らなければ通じ合えません。
例えば、教化をする相手の悩み、疑問を知るということです。そして次には、同じ悩みを抱えた人に、同じ悩みや苦労を抱えた方がこんなご利益をいただいた、とご利益談を話す、これを御経では本神通妙(仏様の神通力を示す)と説かれます。
すると相手が、そんな結構なご利益をどうしたらいただけるのか、という興味を持ったところで、初めて、結構なご利益をいただくには御題目をお唱えしてご信心をさせていただけば誰にでもご利益がいただけると、ここでご信心の話をする。これを本説法妙と言います。
長々と説明しましたが、お教化をさせていただくには、先ず相手に近づき、相手をよく知ること、相手が何を求めているかをよく知ること。それには話す、声をかける。声に出さねば、ということになります。それも、最初からご信心の話ではなく、先ずコミュニケーションを取ることを大事にする。寿量品に説かれる本感応妙(会話)→本神通妙(ご利益談)→本説法妙(信心のお話)の順です。

当寺の婦人会長・高澤悦子さんは、開導聖人ご生誕200年記念本山法要(4月23日)で昨年度教化10個以上成就者表彰を受け、当日の第三座でご利益談発表をしました。以下に、高澤さんのご奉公振りをご紹介します。
6月5日、お寺に警察から当寺のご信者と思われる男の方が孤独死されたとの連絡が入りました。孤独死ですから、発見者が警察へ、そして警察から当寺へ連絡が入ったのです。警察の話では、亡くなった方の自宅の御宝前に当寺の封筒と、その中にご信者が経営する葬儀社(セイオン)の名刺があった。そこで、当寺のご信者、もしくは関係者ではということで確認があったわけです。
翌日、警察の調べで甥っ子さんとの連絡がとれ、その方から教務、そして高澤さんとの名前が出て、当寺の信者に間違いないということになりました。
受持ち教務に、法灯相続はと訊ねると高澤さんが前々から「亡くなられた方は独り身でご家族がいないので、甥御さんに法灯相続していただきます。妹さんもおられるけれども、その方は他宗の信心を熱心にしているので無理です」と言っていたということでした。
高澤さんに連絡すると既に甥御さんと連絡をとり、お葬式の段取り等を話し「心配ありませんよ、葬儀社もご信者さんです。私が行きますから」と言っておきましたとのことでした。その手際のよさに感心させられました。

なるほど、これが教化10戸の秘訣、亡くなられた方は高齢の心臓に持病を持つ独り身、そして当寺の墓地を持っている。誰かに法灯相続をしてもらわねば、と故人と会うたびその事を考え、家族、親せきの情報を得て、そのなかで誰を法灯相続者にするかを予(あらかじ)めいろいろな情報の中から決められてご奉公をされていたのだと思いました。
そして、何も分からなく不安な甥御さんに一言「大丈夫ですよ、私が行きますから」の声掛け、不安な甥御さんにとってはどれほど頼りになることか、正に本感応、今風に言えばコミュニケーションの達人ということでしょう。
高澤さんに言わせると「私のできることを精一杯させいただいているだけ」と答えが返ってきます。そして「これからも」と。皆さんも、日頃から自分にできる事を精一杯、声(こえ)に出すことを心がけて下さい

※6月9日に甥御さんは、高澤さんの教化によって入信されました。