ほんもんぶつりゅうしゅう
2019年04月01日
第28回研究発表大会を開催 特別講演 パネルディスカッションも
去る2月19日、佛立教育専門学校と佛立研究所共催の「第28回研究発表大会」が、宗務本庁3階宗会議室にて開催され、午前10時40分より玄題三唱、小西日演宗務総長・髙須日因教育局長の挨拶、修学塾教員委嘱状交付と続き、講有上人より御訓示を賜った後、特別講演に入った。

鵜飼秀徳氏の特別講演
 今回は、ジャーナリストで浄土宗正覚寺副住職(一社)良いお寺の研究会理事である鵜飼秀徳氏より「寺院消滅時代を迎えて 問われる僧侶の覚悟」と題して特別講演をいただいた。
 鵜飼秀徳氏は1974年京都市生れ、成城大学を卒業後、報知新聞社の記者を経て、日経BP社に移籍、現在はフリージャーナリスト。2015年に「寺院消滅」を出版しベストセラーに。浄土宗の僧籍を持ち、浄土宗総合研究所嘱託研究員、東京農業大学非常勤講師でもある。
この日の講演では、全国の寺院の数は江戸時代には9万あったが、これが明治の「廃仏毀釈」で半分の4万5千に落ち、そして現在は7万7千という数であること。
今、日本では地方の人口が減っている。特に若い世代の減少が著しい。反対に大都市の人口が増え続けている。寺院を取巻く事情も実は、この人口流動が大きく関係しているということ。
このままいけば寺院はどんどん消滅していき、20年後には35%の寺院が消滅し、およそ5万の寺院に減少するとの試算があるという事実。
そんな中、鵜飼氏は全国の消滅寺院の実態を調査しつつ「寺院消滅」の防止となるような施策に取り組む各宗派や僧侶の活動を紹介された。
特別講演の後、質疑応答、昼食・休憩と続き、午後からの研究発表では
①「消滅しない佛立寺院」 ―地方寺院の調査から見えた佛立信心の強みー
研究員 河野彰国師
パネルディスカッション
 この後、研究所副所長 局良鳳師の司会進行により、特別講演の講師・鵜飼秀徳氏、佛立研究所客員研究員・川野辺裕幸氏、第7支庁・気仙沼清護寺住職・小原日論師、佛立研究所弘通研究部門主任石岡日敬師、第1支庁・田上栄松寺住職・増永清光師をパネラーとして、「寺院消滅時代における佛立寺院の未来について」とのテーマのもと、パネルディスカッションを行った。
 はじめに川野辺裕幸氏から、①戦後日本社会の変容と本門佛立宗、②宗門の現在 日本社会の変容と弘通基盤、③収縮する本門佛立宗 単純予測④超高齢化は日本全土へ⑤小規模寺院の御弘通についてと、それぞれの項目の調査結果の報告が述べられた。
 小原日諭師は、東日本大震災被災地(気仙沼)寺院としてのご奉公の工夫を語られた。
石岡日敬師は、過疎化の進む夕張市にある当宗寺院の本照寺の取り組みを披露された。
 増永清光師は、教務の常住のなかった小規模寺院への常住を決意し、そこで取り組まれたご奉公と、現在の発展状況について語られた。
 鵜飼氏は、寺院消滅という点では佛立宗は他より緩やかな感じだが、僧侶の育成、特に女性僧侶の育成には遅れを感じる。何か相談するにも女性ならではという利点が沢山ある。こういったニーズに応えられるようにすることも、将来の寺院消滅防止という点では大切なことだ、と述べられた。
 パネルディスカッションに引き続き、次の研究発表が行われた。
②高祖ご降誕論
~高祖のご出自とその背景についての一考察~
研究員  指田日行師
③当宗修学の用心について「私新抄」の一節を拝して
学 校 小野山現仕師
 最後に佛立研究所所長岡居日実師の閉会の辞をもって、この日の研究発表大会が無事に終了した。