ほんもんぶつりゅうしゅう
2020年01月01日
講尊・小山日誠上人 新春清談 お正月は改良の良いきっかけだ!
――小山御講尊には無事に令和2年の新春を迎えられたことを、お慶び申し上げます。新年に当たり、宗内のご信者方へメッセージなどをいただけたらと存じます。

ご信者らしい
心のこもった挨拶を
全宗門人の皆さま、新年明けましておめでとうございます。昨年中は台風・大雨・地震など災害の多い年でしたが、今年こそは日本が、世界が、良い年になりますよう、お祈りしております。
宗門教講一同も、新年を迎えてますます信心改良し、ご奉公に励むお誓いを、まず御宝前に立てさせていただきましょう。きっと良い年になります!
私ども信者も世間の人々と同じように「新年明けましておめでとうございます」と、互いに挨拶を交わします。ですが口先だけで「おめでとう」と言い合えば、それで良いのでしょうか? もっと信者らしい、心のこもった挨拶をさせていただこうではありませんか?
開導日扇聖人は新年に当たっての御教歌に、
①「あなめでた 年の始の 東雲(しののめ)に みのりの声の 花は見えけり」
新年に御宝前でお唱えさせていただく御題目の声は、ひときわ新鮮で、ありがたいものです。
②「あらためて ことしこそはと おもふらめ やすまずあゆめ 信行の道」
それは新年で気分を一新して、去年までのご奉公を反省改良でき、すっきりと新しい気持ちで、今年の信行増進をお誓いする気持ちになれるからです。
③「折伏を 受て信行 すゝむをば 見る安穏の はるぞめでたき」
新しい年には、新たなお折伏をいただけて、また改良増進ができます。
というふうに、すべて信心改良に結び付き、生まれ変わったような気持になれるとお示しです。〝新年は一大改良のチャンスだからおめでたい〟という受け取り方が大切です。
こうして迎えた新年を、開導聖人は
「正月や ガラスの窓に 雪を見て 餅のかゆ煮て 御書拝みつゝ」
と、御書拝読の日々の中にも、ゆったりとお過ごしになられたご様子です。何と広々と豊かなご心境でしょうか。まさに法悦のお正月です。私たち信者も、かくありたいものですね。お正月を世間の人と同じように、ただお酒を飲んで騒いで過ごすというのではなく、〝さあ、改良の良いきっかけだ!〟という、前向きな気持ちで迎えましょう。
ありがたいことに、6日からは寒参詣も始まります。今年の信心改良の度合いを寒苦の中から感得できる、最高の機会です。

――宗門では、令和4年にお迎えする高祖日蓮大士ご降誕800年慶讃ご奉公の3年目を迎え、講有上人も『年頭のことば』で「目に見えたご弘通の成果を現わさねばならない」と仰せですが、いかがでしょうか。

800年前の世の中
さて、お祖師さまがお生まれになられて800年。お祖師さまはどのような時代にお出ましになられ、そのころの日本はどんな状況だったのか、今日はそんなことを少々お話ししたいと思います。

*仏教伝来
6世紀半ば、中国から朝鮮半島を経て仏教が日本に伝えられました。平安時代には伝教大師・最澄が天台宗、弘法大師・空海が真言密教を我が国に伝え、そこからたくさんの仏教各宗団が生まれたのです。
仏様の本当のお悟りをお示しになった「妙法蓮華経」(法華経)は7世紀に日本へ伝えられ、聖徳太子に尊重されて「法華八講」という法華経讃嘆の法門が各地で開かれました。特に当時、比叡山延暦寺は日本仏教の中心となり、その後の各宗開祖は、ここに学んで一宗を建立したのです。

*日蓮聖人の御出現
お祖師さまがお生まれになったのは鎌倉時代となります。平安時代の終わりごろから「末法」という、仏教でいえば五濁(ごじょく)悪世に入ったと信じられ、世の中には争いごとが多くなり、人間の煩悩が盛んになって、ますます住みにくくなるといわれます。
しかし慈悲深い仏様は、この末法の時代の人々の救いをちゃんと用意してくださいました。久遠本仏の一番弟子「本化の菩薩」が、仏滅後2千年から2千5百年の間に出現されることが法華経には説かれてあり、お祖師さま日蓮聖人は、まさにその本化上行菩薩の御生まれ変わりとして、末法の世にお出ましになられたのです。
法華経の真理は、日蓮聖人を通して初めて人々に永遠の救いの道が開かれ、私どものものとなったのです。
このお祖師さま・日蓮聖人は、承久四年(1222)2月16日、房州(今の千葉県)小湊に「善日麿」としてお生まれになりました。
お祖師さまご自身は後年、「日蓮は日本国東夷東条安房の国海辺の栴陀(せんだ)羅(ら)が子也」
(佛立宗版 御妙判集3巻83頁)
と仰せになっておられます。(来月につづく)