ほんもんぶつりゅうしゅう
2019年10月01日
海外弘通だより~韓国編 悪化が懸念される中でのご奉公 鶴松寺・新清寺合同の開導会をお勤めする
令和元年8月、日本との関係悪化が懸念されている韓国教区でご奉公をさせていただきました。
現在、韓国教区にはソウル市内に鶴松寺と新清寺の2ヵ寺があり、姜蕙昌師が両寺院の住職を兼務されています。
2つの寺院は30キロほど離れており、渋滞の多いソウルを車で移動しながらご奉公を進めておられます。韓国の住宅事情は複雑で、地価の高騰が激しく、地域ごとに大きな格差もあります。所属信徒の転居が相次ぎ、お寺の近隣に住んでおられるご信者は少なくなり、片道1時間以上かかる方々がほとんど、とのことでした。
「韓流ブーム」と言われた時代が懐かしく感じられます。信徒の高齢化に加えて、両国関係の悪化が韓国教区のご弘通に暗い影を落としています。そうした教区の実状を知り、高祖日蓮大士ご降誕800年慶讃ご奉公「教化・法灯相続つづれ織り運動」を推進すべく出張ご奉公させていただきました。
8月25日、鶴松寺と新清寺合同の開導会を奉修させていただきました。その前後に新清寺役中との懇談会を行い、開導会奉修後には韓国教区の合同幹部会を開催いたしました。また、鶴松寺の理事長であった故・河基鐘氏のお宅にもお助行へ伺いました。
反日感情が高まる昨今の韓国国内情勢について現地教講から話を聞きました。韓国教区の信徒は比較的冷静に事態の推移を見守っておられました。実際、ホテルやレストランにいても「反日」と感じることは全くありませんでした。多くのご信者方が「宗教は政治と違います。そうした壁をすべて超えて一つにするものが宗教であり、本門佛立宗のご信心だと思っています」と言っておられました。
しかし、出張期間中、ソウルの繁華街で日本人女性が韓国人男性に髪を引っ張られて押し倒されるという事件が発生し、両国で大きく報道されました。日本からの随伴参詣もおられたので事件に巻き込まれていないか不安になりました。緊張が高まっていることが事実であると実感いたしました。
やはり、30代から40代は「反日教育」に触れており、その感情は複雑です。「本門佛立宗は日本の宗教」という枠組みでは、教化はもちろん、法灯相続も極めて困難に感じられます。南北問題、左派と右派の対立、反日感情、新興宗教への警戒、キリスト教の浸透など、政治的にも宗教情勢としてもあまりに厳しい弘通環境です。
せめて、本門佛立宗が、普遍的な、国際的な宗団であることを韓国教区のご信者の皆さまに認知していただきたいと思い、今回の開導会ではテーマを「世界宗教(세계 종교)本門佛立宗」と題して奉修させていただきました。
参詣者にはスクリーンを使って、ブラジルやスリランカ、イタリアでのご奉公の模様を投影し、全世界で現証のご利益をいただく佛立信心、ご信者方の姿を見ていただきました。本堂には老若男女の信徒が集い、特に子どもたちの姿も目立ちました。
奉修後、両寺院合同幹部会を開催しました。日増しに厳しさの増す情勢ですので、韓国教区にとって高祖日蓮大士ご降誕800年が最後のチャンスであり、最大のチャンスであると確認し合い、改良のご奉公を誓い合いました。
最後に、鶴松寺・新清寺を護持しているのは相変わらず献身的なご信者方であり、その堅固なご信心に心から感動いたします。教化も法灯相続も日本でするより何十倍も困難なはずです。それでも負けず、揺るがずに信行ご奉公に気張っておられます。
日本の私たちも韓国教区の方々に負けないように慶讃ご奉公の成就に向かって精進させていただきましょう。
ありがとうございます。