2017年07月01日

東日本大震災 被災地管見記② 測定器の鳴り響くなか福島県へ 本紙編集長 橋口清遠

常磐自動車道を北上
開運寺を訪れた翌日、道路の渋滞を避けるため早朝6時半に水戸を出発し、一路、常磐自動車道を北上。
するとならはパーキングエリアを過ぎたあたりから、ワゴン車内の放射能測定器がピー、ピーと鳴り出した。この測定器は、〇・3マイクロシーベルトの放射線量を超えると警報が鳴る式なので、すでにならはPA通過時点の、しかも道路上でこの放射線量である。先が思いやられた。

シーベルトについて
なお、このシーベルトという言葉は、福島第一原発事故以来よく耳にするが、放射線を受けたときの体への影響の度合いを表す単位である。シーベルトの千分の一がミリシーベルト、その千分の一がマイクロシーベルトとなる。
ちなみに、50ミリシーベルトでガンの発生率が上昇し始め、500ミリシーベルトでリンパ球の減少が見られ始める。以下、1シーベルトで吐き気などの症状が出始める。2シーベルトで約5%、4シーベルトで約50%(半数)の人が死に至る。そして、7シーベルト以上では100%が死亡する、いわゆる放射能の致死量と言われている。
また、日常生活における被曝量の目安は、0.05ミリシーベルト(50マイクロシーベルト)が胸部X線の集団検診で受ける被曝量。0.6ミリシーベルトが胃のX線検診一回の被曝量。1ミリシーベルトが自然放射線・医療被曝を除く一般市民の被曝限度。2ミリシーベルトが胃のレントゲン撮影一回の被曝量。
2.4ミリシーベルトが一年間の自然放射線被曝の世界平均。6.9ミリシーベルトが胸部X線CTスキャン一回で受ける線量。10ミリシーベルトがブラジルのガラパリで年間に受ける自然放射線の量。そして、50ミリシーベルトが放射線業務従事者の年間被曝の上限と言われている。
また、特に説明のない限り、テレビなどで「1マイクロシーベルトが観測された」という報道があれば、人間がそこで一時間過ごすと1マイクロシーベルトを「被ばく」することになる、と考えると分かりやすい。「毎時」が省略されているのである。
ということは、測定器の0.3マイクロシーベルトは一時間につき0.3マイクロシーベルトの放射線量を浴びているということだから、一日では0.3×24=7.2二マイクロシーベルト。一年間では7.2×365=2,628マイクロシーベルト=2.628ミリシーベルトとなる。
長々となったが、後ほどまた、この放射線量の話が出てくるので、少し説明させていただいた。

復興まだ遠い浪江町
さて、常磐自動車道での途中、コンビニで軽い朝食を買って走る車内で済ませ、2時間半ほどで浪江インターへ。ここで高速道路を降り、浪江町内へ入った。
ここ浪江町は、福島第一原発から最も近いところで約4キロと「帰還困難区域」が大半を占めている。また「避難指示解除準備区域」「居住制限
区域」については、3月31日から避難指示が解除となり、住民の帰還が可能となったが、我々が訪れた日は避難指示解除の前日であった。
当然、道路を走っていても、復旧作業に当たるダンプカーや作業員が行き交うばかりで、住む者は誰もいない。そんなゴーストタウン化した浪江町内を走り、JR常磐線の浪江駅へ向かった。
浪江駅前には放射能測定装置が設置されていて0.273マイクロシーベルトと計測されていた。先ほどの計算でいくと年間約2,391マイクロシーベルト=2.391ミリシーベルトとなる。
3月末の避難指示解除に合わせて4月1日から「常磐線 浪江~仙台間開通」という幟(のぼり)が立てられており、確かに数字の上からは帰還可能となるのだが、駅の向かい側にある家の前には汚染土壌の詰まった除染袋が並んでいた。「おいおい、これで大丈夫なのか?」と思わずにはおれない。
実際、昨年9月に実施された浪江町住民の帰還意向調査でも「すぐに・いずれ戻りたいと考えている」が17.5%、「まだ判断がつかない」が28.2%、「戻らないと決めている」が52.6%となっており、また、5月末現在、住民登録数約18,400人の内、帰還した町民はわずか105人という現状を見れば、住民の思いも自ずと分かろうというものである。

 富岡町も復興半ば?
浪江駅を後にし、我々は国道6号線・陸前浜街道を南下し、ほぼ帰宅困難地域に指定されている双葉町、そして福島第一原発のある大半が帰宅困難地域の大熊町を経て富岡町に入ったが、国道沿いに建っている様々な店舗も驚くほど悲惨な状態になっている。
ここで6号線を少しそれ、小良ヶ浜・深谷地区にある汚染土中間管理施設を見に行った。もちろん施設の近くまでしか行けないが、100メートルほど離れた我々のいる道路沿いの木立で放射能を測定したところ、何と5以上、6~7以上の値が出る箇所もあった。
仮に5マイクロシーベルトとして計算すると、年間では43,800マイクロシーベルト=43.8ミリシーベルトとなる。先ほど「50ミリシーベルトが放射線業務従事者の年間被曝の上限と言われている」と書いたが、それに近い数値ではないか!
(つづく)