ほんもんぶつりゅうしゅう
2016年12月01日
婦人会の第34回教養大会 あれから5年、あの時、今、これから 第7支庁 東北南部布教区
去る9月4日、東北南部布教区婦人会では「第34回教養大会」が、福島県いわき市・妙運寺で、布教区長・栢森清洋師ご列席のもと、77名(御教務方5師)が参加して開催されました。
当日は、河合弘之弁護士監督の映画「日本と原発」を上映し、また弘通部参与・秋山現信師よる「あれから5年、あの時、今、これから」の講演をいただきました。
5年前の東日本を襲った大震災は震度六を超え、大きな揺れと1,000年に一度と言われる大津波に襲われ、いまだ行方不明者を残しています。そして福島第一原発の事故。我々には予測することのできない大惨事が起きてしまったのです。それは、未だに収束されず不安感は払拭されません。
「第34回東北南部布教区婦人会教養大会」では、その原発事故の被害を受けた福島の現状を考えてみたいと企画しました。そして「あれから5年、あの時、今、これから」と銘を打ち、開催いたしました。
台風の後の蒸し暑い1日でしたが、会場は汗だくにもかかわらず熱気に包まれ、皆さん熱心にビデオに見入っておられました。「日本と原発」のビデオ上映は、あれから5年の今、改めて考えなければならない原発の問題を浮き彫りにしました。
狭い日本、地震の多い日本に原発がこんなに増えていたのには本当に驚きです。そして稼働していないとはいえ、福島第一原発のような事故がどこにでも起こる事を実感しなければなりません。便利な世の中、豊かに見える日本の抱える原発問題、本当の幸せはどこにあるのか等々… 複雑な思いが込み上げてきて、本当に考えさせられたビデオ上映でした。
大会後、秋山現信師の案内で現地視察をいたしました。国道6号線、常磐自動車道沿いに、高く積まれた黒い放射性廃棄物の山を右に左に見ながら、楢葉町、富岡町、浪江町と進み、帰宅困難区域と言われる所の近くまで行きました。ところどころに通行止めのバリケードがあり、警察官が立っていて入れません。
朝晩は原発作業員と除染作業員の車で大渋滞になるという話を聞きましたが、町には人影は全くなく、一見、住んでいるのかしら? と首を傾けるような佇まいが並んでいました。まさにゴーストタウンです。
最後に案内していただいた浪江駅前は間もなく電車が開通して、避難指示解除になる街だそうですが、放射線量計がジージーとなるような街に人間が生活できるのでしょうか? 生活に欠かせない飲み水、食べ物、庭に乾していた衣類に放射性物質が付着するなどの現実を考えると難しく、困難な問題ばかりでした。
放射性物質の一部は半減するものもあるそうですが、何十万年も消えないと言われるものもあるという秋山現信師のお話でした。原発がある限り心配は残ります。
最後に福島にお住いの皆様は、今なお線量計の数値に神経の休まる日々はない事を痛感いたしました。と同時に日本に住む私たちは、原発の被害を他人事とは思えない現実があることを忘れてはならないと思いました。
そして私たち佛立信者は、御宝前に福島原発の早期収束のご祈願をし、一人でも多く「御題目」をお唱えして本当の復興を願わずにはいられません。
合掌
(布教区婦人会会長・妙護寺・井上紘子記)